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花影のカンタータ

月に照らされた花の影で、小さな小さな歌声を

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いきなり最終戦線!28 終わり 




「疲れたー。すっごく疲れたー」
「オレもー」
「僕も、さすがに……」
 あの日から三日後。穴はほとんどがふさがり、多少のほころびなどを修復するため機関や魔導師同盟は未だに忙しいらしい。エースはきちんと保護者からの許可も得て、無事学園にこのままいれることになった。
 一週間ほど、学園は休みになった。出入りは自由なので、皆思い思いに過ごしている。六人は今裏庭で寝そべっていた。魔界の雲も穴に吸い込まれて消え、空は快晴である。食堂で準備してもらったピクニックセットのサンドウィッチを食べつつ、ぐだぐだとしゃべり会う。
「僕、実は一時は本気で世界滅びるかと思いました」
「あー、思ったね。いきなり最終回みたいな展開になって驚いたよ」
「……あたし、動きたくない……」
「あれから三日もたったけど、まだ疲れがとれない気がするよね」
「……すまない」
 エースが決まり悪そうに謝った。ちなみに、髪と目の色は、黒と赤ではない。青と黄に戻っている。学園の教師たちにはエースが魔族であることが知らされたが、学園の生徒たちには明かされないことになった。六人だけの秘密だ。
「いや、それはいいんだけどさ。エースの家族、すごかったねー」
「強烈な人たちだったねー」
「きょーだいわらわらー」
「いっつもあぁなんだ。仕事はやらないし、ふざけて余計な手間は増やすし」
「それで家出したんだな!」
 悪気があるわけじゃなく、特に深い意味もなく明るく言い切るデューに、エースは苦笑してうなずいた。それにマミーが反応する。
「そーなんだあ。あたしはね――」
「ところでこよみん、最近いらいらしてたみたいだけど、すっきりした顔してるね」
「魔法ぶっ放したらすっきりしたにょ」
「あれ八つ当たりだったんですか!?」
「そっかー、なんでいらいらしてたの?」
「シュカがうじうじててー」
「う、うじうじしてません!」
「よわよわだからだにょ」
「よ、弱くないですう! もー、暦さん!」
「あははははは!」
 楽しげに話す四人から少し離れて、マミーはエースの隣に寝転んだ。
「あたしもね、家出したんだ」
「そうなのか? どこぞの箱入りだと思ってたな」
「そう、箱入りだよ。家出するまで、あたし家と庭から出たことなかったんだよ」
 マミーは妖精界の貴族の生まれだった。一番下の妹で、兄姉たちから大事に大事にされてきたマミーは、外は危ないからと、外に出してもらえなかったのだ。
 外の世界が見たくて、知りたくて、あてもなく家を飛び出した。しかし、家の敷地から出る前に、マミーは魔法界に来ていた。正確には、世界の境界の『隙間』に、落ちてしまったのだ。落ちた先は、蒼竜家の庭だった。
「そうか、それであんなに仲がいいんだな」
「うん! りゅうさんは初めてできた親友なんだ! 暦ちゃんとも仲良くなれたしね!」
 マミーは嬉しそうに笑った。そんなマミーを見て、エースも嬉しそうに微笑んだ。ふと、マミーはなにやら思いついて、にやっと笑った。
「あたしたち、家出コンビだね」
「ん? あぁ、そうだな」
 それを聞きつけた蒼竜が、からかって二人を呼んだ。
「そこの家出コンビ! 早く食べないと、バスケットの中身なくなるよー」
「りゅうさん! 大声で言わないでよぅ」
「マミーが言ったんじゃん」
「人から言われるのは嫌なんだよな?」
「あっ、暦さん! それは僕の分ですよ」
「シュカがなまいきー」
「オ、オレの分は!?」
「あ、ごめん、私が食べちゃった」
「蒼竜なら仕方ねーな!」
「おい、本当にまだ残ってるんだろうな……」
「ちょ、ちょっと待ってよー!」
 あのとき、勇気を出してよかった。あのとき家から飛び出さなければ、皆に会えなかった。きっと、エースもそう思ってるよね。
 マミーは嬉しくなって、ふざけて皆の間に飛び込んだ。
「家出コンビ、出動ー!」
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Posted on 2013/10/06 Sun. 21:00 [edit]

category: いきなり最終戦線!

thread: 自作小説(ファンタジー)  -  janre: 小説・文学

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