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花影のカンタータ

月に照らされた花の影で、小さな小さな歌声を

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いきなり最終戦線!26 

「エース! オレら、何すればいいー?」
 何を言ってるんだ。ここは危ないから、早く逃げろ。
 そう言おうとして、マミーの目を見た。そして、上空にいる仲間の目を見る。同じ、強い意志が宿った目だった。エースは、ちゃんと声が届くようにと叫ぶ。
「今発動できる最強の魔法を唱えてくれ! できれば、シュカの光属性の魔法に集約してほしい!」
「! 分かりました!」
 シュカがまかせろとばかりに返事をするのを聞いて、マミーは嬉しそうに羽をはばたかせた。
「皆、エースの力になろうとしてくれてるね……」
「あぁ」
 エースはしっかりとうなずいて、詠唱を続けた。
 エースが光属性の魔法を頼んだのには理由があった。光属性と闇属性のように、対になる魔法は同じくらいの威力のものがぶつかると、すさまじい衝撃が起こるのだ。同じ強さの魔法を発動できるかは賭けだが、エースはできると信じていた。
 たとえ、失敗したとしても、初撃で魔物の数を減らせなければ、どのみち魔物の侵攻を止めることはできない。エースはありったけの力を呪文にこめた。
 扉が少しずつ開いていく。首の長いモンスターがこちらの様子をうかがうように、次々と首を伸ばし出す。うごめく暗闇が全て開かれたとき、エースは合図を出した。
「マミー、今だ!」
「ああああああ!!!」
 呪文もなにもない、純粋な風の力のかたまりが、エースにぶつかった。その力を殺すことも逃がすこともなく、エースのかざした手の平に全て吸い込まれた。
 エースの左手が、黒く、まるで墨を流したかのように染まった。その黒は、左手から徐々に全身に広がっていく。黒い血液が流れているのかと思うほどに、ずるずると闇がエースを飲み込んでいく。だが、目だけが――、
 ――――赤い。
「“闇の人”」
 エースのうなり声と共に、エースの背後から黒い巨人が立ち上がった。髪は蛇のようにのたうちまわり、手先は槍のようにとがっている。門と同じくらいの高さをほこる巨人の目は、やはり赤かった。
「僕の最強の魔法ではありませんが、……最高の攻撃力をもつ魔法です」
 シュカは、エースの指示を聞き、すぐに何を狙っているかが分かった。その巨人をみたシュカも、仲間たちからもらっった魔力を合わせて、魔法を唱えた。
「“聖者の行進”」
 光り輝く四人の騎士が、整列して出現した。騎士たちの周囲には、赤、青、黒、白と様々な色の火花が飛び交い、美しい光で空が覆われた。
 見るものを恐れさせる光景と、感動させる光景が、天の底に存在した。あまりにも美しい光景に圧倒され、マミーたちはひたすら闇と光の魔法を見届けていた。
 エースとシュカは、何の合図もないのに、同時に行動を起こした。エースはかかげた左手で拳をつくって、シュカは三人に支えれて立ちながら両手をかざした。
 そして、同時にふりかざした。
「いっっけえええええええ――――――――!!!」
 二つの正反対である力が、門に向かって放たれる。闇の巨人の左手と、光り輝く聖者たちの矛先が、――――衝突する。
 一、瞬。
「うわあああああ――んっ!」
 子供の泣き声が、その場に響き渡った。
「――――――――――………………え?」
 開かれた門から幼い子供が走って出てきた。
「うわああ危ない!」
「シュカ!」
 子供を見た途端、シュカはパニックになって魔法が消し飛んだ。聖者たちは少しの火花を残して消えた。闇の巨人は、エースが固まるのと同時に静止した。
 その場にいる全員が、ぽかーん、と呆けて子供を見つめた。子供は黒い髪をしていて、涙でよく見えないが、目も赤いように見える。子供はまだ泣きながら走っている。
「兄ぃ様ぁぁぁー! お兄様ー! エースお兄様あああ!!」
 皆の視線が、エースに集まった。
「…………ミラーデ」
 エースは頭を抱えてうつむいた。集中がとぎれ、巨人も宙に霧散した。
 走り回る子供の後に続いて、開かれた扉からぞくぞくと人が現れた。全員、魔族だ。
「おおー! ここが地上かー!」
「なかなか空気も悪くないじゃなーい?」
「それはあっちこっちに穴があいてるからだと思いますけど……」
 総勢十一名。突然の大所帯の登場に、皆混乱した。ていうか、さっきお兄様と呼ばれていたような、気が。
「お、お、お、お兄様――――!!?!」
「あれ、エースの弟か!」
「妹じゃないの?」
「下の弟妹だけじゃなさそうですね……」
「わらわらいるにょー」
 どんなに暦が失礼なことを言っても、もはや誰も気にならなかった。エースの妹、ミラーデは、ついに兄を発見して抱きつく。
「お兄様! ごめんなさい、ごめんなさい! 全部わたくしのせいなのです!」
「お、落ち着けミラーデ。一体そっちで何が起こったんだ」
「こいつらがバカやったのよー」
「キュベラ姉さん……」
 暦いわく、わらわらと集まったエースの兄妹(姉弟)たちが、エースの傍に寄ってきた。エースの姉の一人、キュベラが、幼い双子の兄妹の首根っこをつかんでぶらぶらとゆする。
「何かこいつらがいつものいたずらやってたんだけどさー。ミラーデが何っ回言ってもやめないのよ」
「……姉さんも二人に注意してくれたんですか?」
「えー。そんなことしないわよめんどくさい」
 これだからうちの奴らは……!
 エースの額の青筋が浮かぶのを、マミーは見てしまった。
「そういうことが何回もあってさ。でも今回は入っちゃいけない部屋のあった古くさい機械に色々しちゃったみたいで、こう、ミラーデがプチーンと……」
「ごめんなさいごめんなさああああい!」
 エースの腰にしがみついて泣く妹を、エースは優しく抱きしめた。
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Posted on 2013/10/04 Fri. 21:00 [edit]

category: いきなり最終戦線!

thread: 自作小説(ファンタジー)  -  janre: 小説・文学

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