FC2ブログ

09 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.» 11

花影のカンタータ

月に照らされた花の影で、小さな小さな歌声を

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Posted on --/--/-- --. --:-- [edit]

category: スポンサー広告

TB: --    CM: --

--

いきなり最終戦線!25 

 エースは門にたどり着くと、力一杯両手を門にたたきつけた。
「俺は扉が開かないようにやってみる! 成功するか分からんから、早くいけ!」
 エースはそう言うと、門に全身全霊を集中させた。そしてこの門を閉ざすように命令する。少し、赤い光の動きが弱くなった。
 マミーは強く涙をぬぐった。早く逃げろと言われて逃げていたら、今頃こんなところにはいない。
「エースを置いていけるわけないじゃん、エースのばかあ!」
「そこのお嬢ちゃん」
 魔導師の男が、この状況でもなお気の抜けた笑みをしながら、マミーの傍に寄ってきた。
「あの門は魔界の王族のいうことしか聞かないから、王子ならやれるよ。ところで、お嬢ちゃんはさっきから話を聞いていると、王子のお友達かい?」
「そうです!」
 マミーは迷いなく答える。
「そうかいそうかい、はは! いやあ、青春だなあ。それはそうとお嬢ちゃん、あの門が開くとね、中から沢山の魔物が出てくるらしいからさ。ここにいるとお嬢ちゃんまで巻き込まれるよ? って、王子は言いたかったんじゃないかなあ」
 「沢山の魔物」というところでマミーは身をこわばらせたが、それも一瞬だった。マミーはもう決めていたのだから。
 青空のように真っ青な目をきらきらとさせて、マミーはエースを見た。エースにすべきことがあるなら、やればいい。でも。
「あたしは、あきらめない! エースがもし、魔界に帰っちゃったとしても、エースがあたしたちと一緒にいたいって思ってくれるなら、魔界に乗り込んででも、エースを連れ戻してやる!」
 エースにマミーの声は届いていない。門に全てを集中させていたから、周囲の音は何も聞こえていなかった。だがそんなエースの努力もむなしく、赤い光はゆっくりではあったが、『扉』を完成させてしまった。
 エースは悔しげに舌打ちすると、門から離れて距離をとった。門が開けば現れるであろう、魔物を迎撃するためである。
「やはり無理だったか……! 扉が開く! 離れろ!」
 エースの声を聞いて、この場にある全員が門に向かって構えた。「防御結界準備!」と、魔導師の男が指示を出す。皆が攻撃の体勢をとる中にマミーの姿もあって、エースはマミーの元へかけていった。
「マミー! 逃げろって言っただろう」
「やだっ。エースと一緒にいる!」
「お前は……!」
 エースはため息をついた。マミーはきっと、もう自分の意志を変えないだろう。いや、最初から変えていない。迷ったり、尻込みしたりしても、結局、その決意は変わらないのだ。エースは、自分の方があきらめるべきだとさとった。
 あきれたようにエースは笑った。
「マミーは変なところ頑固だからな」
「へ、変じゃないもん!」
「分かった。できるだけやってみる」
「え?」
 マミーは思わず目を見開いた。そんなマミーを見て、楽しそうにエースは笑った。
「俺はきっと、魔界にもどらなければならない。世界を滅ぼさせるわけにはいかないから。でも、すぐに帰ってくる。マミーのパートナーとして、まだ、この学園に!」
 緊迫した空気の中でも、エースは笑って見せた。いや、エースは本当に嬉しいのだ。口調もその笑顔も、とても清々しくて、マミーは見開いた目を丸くして見つめた。そして、つられたようにしてマミーも微笑んだ。
 エースだ。ここにいるのは、他の誰でもない、エースなんだ。髪が黒くても、目が真っ赤でも、魔族でも王子様でも、やっぱりエースはエースだった。
「うん! あたしも頑張る!」
「よし。今から俺が使える魔法の中で最高の攻撃力を持つ魔法を完成させる。マミー、手を貸してくれ」
「もちろん!」
 二人はうなずきあうと、エースは詠唱の合間にマミーに指示を出した。
「俺が合図を出したら、風魔法でいいからありったけの力を俺にぶつけてくれ」
「大丈夫なの?」
「闇属性の魔法は、光属性以外の魔法を自分の力として変換できる」
「わかった」
 二人とも自らが持つ最強の呪文と唱え始めた。そのとき、ついに扉が開き始めた。
 漆黒に沈んでいた扉は、赤い光で彩られて形作られ、その全てが赤く輝き始めた。門の扉が少しずつマミーやエースたちの方へ開いていく。地鳴りのように地面が震えだしたように感じるが、それは扉のせいではなかった。
 開き始めた扉の隙間に、黒いものがうごめいている。そう、全て魔物だ。
 エースは戦慄した。予想以上に、魔物が群がっている。ありとあらゆるところに穴があいているか、そちらの方に少しは分散しているのかと思っていたが、そう単純ではなかったようだ。
 魔導師同盟の人たちなら、おそらく大丈夫だろう。だが、自分たちの身を守りながらどこまでできるか。機関の騎士たちは問題外だ。隊長が倒れている。
 このメンバーでいけるのか……!とエースが考えていると、上空からふと声が聞こえた。マミーもそれに気づき、思わず声を上げた。
「りゅうさん! デュー! 暦ちゃん! シュカ!」
「エースー、生きてるー?」
「エース――――!!!」
「マミーもいるにょ」
「エースさん! 良かった、間に合った……!」
 エースは驚いて上空を見上げた。今までどこにいたのか分からないけど、そうか、こいつらも来てくれたんだな。
 上空の馬車からデューが元気に身を乗り出す。デューと同じように蒼竜も服があちこち破れていたり汚れていたりしていた。だが、二人とも、いつも通りに元気で毅然としていた。
スポンサーサイト

Posted on 2013/10/03 Thu. 21:00 [edit]

category: いきなり最終戦線!

thread: 自作小説(ファンタジー)  -  janre: 小説・文学

TB: 0    CM: 0

03

コメント

Comment
list

コメントの投稿

Secret

Comment
form

トラックバック

トラックバックURL
→http://uminisumuhito.blog95.fc2.com/tb.php/756-4bd4a1de
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Trackback
list

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。