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花影のカンタータ

月に照らされた花の影で、小さな小さな歌声を

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いきなり最終戦線!23 

 光属性の魔法に、魔物たちは近づくことができない。魔物たちは怒りの声をあげた。
「おいらがいらついてたのはシュカがぐずぐずうじうじしてたからだにょ」
「このタイミングでそれを言うんですか!?」
「気に入らないなら、じゃあ、『こんなんできるならさっさとやれ』」
「う、そ、それは……」
「まぁよくっやったにょ。シュカにしては」
「え!?」
 シュカが驚いて暦を凝視した。何かとんでもないことを聞いた気がする。今日、やっぱり世界は滅びるかもしれない。
 シュカがある意味当然ともいえる感想を抱いている間に、暦はさらなる追撃の詠唱にとりかかっていた。くるくるとファルシオンを回して、朗朗と唱える。
「おーんおーんおーんおーんおーんおーんおーんおーん…………」
 魔物がそこらじゅうでうごめいている中、不思議なことに暦の声はとても響いた。この空間が洞窟であるかのように暦の声が反響し、音程を変え、千人もの人が合唱しているようだった。
 ――おーんおーんおーんおーんおーんおーんおーん…………
 ざわざわする。全身が粟立つ。肌の上を何かがはっているような気がして、シュカは腕をさすった。何故だろう、特に寒いわけでもないのに。
 天候が急に変わったのかと思って、シュカは空を見上げて後悔した。
 あれは、何?あれは……あれは……、
『口』だ。
 暦が、曲刀を回すのをやめた。
「食べちゃえ」

 ぉぉおおおおおお――――――――――――――――――――

 魔界から入り込んだ雲でできた口は、確実に実体を持っていた。一体どれくらいの大きさなのか皆目つかない。大きく開けた口は、地を覆すような声を上げて、天から落ちてきた。
 魔物たちが飲み込まれていく。逃げよとしても無駄だった。穴の何倍もある口からは、何も逃げられなかった。そう、穴の周辺にいる生物は、何者でも。
 …………あれ、僕たちは?
 シュカは無言で暦を見つめた。暦は握った拳から親指をつきだした。
「ぐっどらっく☆」
 え、えええええええ――――っっ!!?!
 すさまじい地響きが、『天の底』にまで及んだ。



「ふーっ、ふーっ、はーっ、はーっ」
 一定の呼吸のリズムで、マミーは崖を登っていた。体の小さいマミーには、つかまりやすかったり足をかけやすかったりする箇所が多く、何とかロッククライミングを成功させていた。
 マミーはデューに投げられたあと、風魔法を使って頂上近くまで到達していた。だがそこで魔力が切れてしまい、現在元の姿に戻って崖をよじ登っていた。魔力が回復するまで休むという選択肢もあったのだが、その選択はマミーの頭の中になかった。
 早く、エースの所にいかなきゃ……!
 マミーはずっと、頭の中でそうつぶやきながら登っていた。エースが魔界に帰ってしまうまでに間に合うだろうかとか、エースに会ったとき何を言えばいいのかとか、そんなことは全然考えていなかった。というか、どちらかというとマミーは怒っていた。
 エースもまだ学生とはいえ、学園の教員たちが泣いて喜ぶくらい優秀な生徒の一人だ。戦えばそう簡単に負けることはない。それなのに、機関からよこされたごつい人たちにひょいひょいついて行って、あたしも一緒に戦うのに!と、いうことである。
 マミーはある程度魔力がたまったのを感じると、呪文を唱えて一気に頂上まで飛んだ。
 今日は頂上を目指してばっかりだなぁ。とマミーは思いながら、頂上の淵近くで再び岩にしがみついた。頂上に人がいるなら姿を見せるわけにもいかない。羽がちゃんと飛べれば、頂上よりももっと上に飛んで様子を見られたのだが、暦もわざとマミーの羽をとかしたわけではない。
 『天の底』は山を円柱にくりぬき、頂上を真横から切ったような形をしている。しかし、遠くから見ると、頂上にドームが建っているように見える。頂上は横から刃を入れられたかのように平らなはずなのに、頂上がふたを被せたように丸い。
 馬車で天の底に近づくとき、マミーたちにもそう見えた。淵からそっと顔をのぞかせたとき、マミーはその理由が分かった。
 円形の頂上の、中央を通った直線上が、全てその存在に占領されていた。マミーは最初、それが何か分からなかった。何か巨大で黒い半円があるようにしか見えない。しかし、何か、ただの物ではないような、触れるのをためらうような異様な雰囲気があった。
「本当にその人数で大丈夫ですかな?」
 マミーははっとして体をふせた。とはいっても頭をひっこめただけだが、緊張してさらに崖にしがみついた。崖登りをしてそろそろマミーの腕も限界なのだが、マミーは聞き耳をたてることに集中した。
「えぇ、問題ありませんよ。こちらも魔導師同盟の手練れを集めてますし。人数は少なくとも先鋭ですとも」
「うむ……。しかし、失敗は許されないのですぞ。機関の魔法使いたちが来るまで待っても遅くはないのでは?」
 マミーははっと気付いた。この声は、エースを連れて行った鎧の奴だ!もう一人の声は、蒼竜の手にはさまれてよく聞こえなかったけれど、崖の下で声をかけてきた魔導師同盟の男に違いない。マミーの中で、機関からきた鎧姿の隊長は、すっかり悪者だた。
 声が少し遠くから聞こえたので、少しだけマミーは崖っぷちから顔を出してみた。ずっと崖にしがみついているのもつらいので、どこか隠れられる岩場とかあればいいなと思っていたのだが、何もなかった。黒い半円と淵の間くらいに、人影が見えてマミーは目をこらした。が、次に聞こえてきた声に、マミーは顔を輝かせた。
「救援を持っている時間はありません」
 エースだ!マミーは嬉しさのあまり、無意識に羽をぱたぱたさせた。マミーからはよく見えないが、エースと思われる人影が少し動いた。
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Posted on 2013/10/01 Tue. 21:00 [edit]

category: いきなり最終戦線!

thread: 自作小説(ファンタジー)  -  janre: 小説・文学

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